象の操作室

Elephant in the Room

フィクションと死と医療をつなぐ実験的ブログ

レイモンド・カーヴァーの象

 タイトルにつられて、またレイモンド・カーヴァーを手にしてしまった。

 また、といっても、手にしたのは1年半前になる。時間が経つのは早いものだ。

 

 カーヴァーに「」という短編があることは知っていたが、なぜかこれまで手にしたことはなかった。

 

 今回は、自然と手が伸びてしまったような感覚だ。まるで、本が手を引き寄せたかのように。

象 (村上春樹翻訳ライブラリー)

象 (村上春樹翻訳ライブラリー)

 

 動物の「象」は最後まで登場することはなかった。おそらく、登場していない。見えていないだけかもしれないが。父に肩車をされる夢の部分で、象に乗っているようだ、との比喩があるだけである。

 

 しかし、この作品では、紛れもなく「象」について描かれているに違いない。あえてタイトルにまでしているのだから。

 カーヴァーが描こうとした「象」とは何か。ここに、決定的な命題が潜んでいるのだろう。

 お金が主旋律になっている作品ではあるが・・・あるいは欲望か。いろいろと思いを巡らせてみたい。

 

 この短編集は、カーヴァーが生前最後に発表したもののようである。病床で自らの死を意識しながら書いたとされる「使い走り」など、印象的な作品が並ぶ。こちらもぜひ、読んでみたい。

 

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