象の操作室

Elephant in the Room

フィクションと死と医療をつなぐ実験的ブログ

科学と人間の対話を

 先人たちが残してきた知恵や警鐘、3.11後にようやくわかることもある。坂本龍一さんが編纂した一冊の本を紹介する。


いまだから読みたい本――3.11後の日本

いまだから読みたい本――3.11後の日本

科学の進歩は何のためか

 この本の中で、手塚治虫さんの「ガラスの地球を救え」(1989年、光文社)が引用されている。その一部を紹介させていただく。

 チェルノブイリ原発事故について。

科学の進歩は、本来人類に幸福をもたらすはずだったものです。ところが、いまでは地球を痛めつける悪い奴になってしまった。かつて荒唐無稽だと笑われたこともあるぼくのマンガどころの騒ぎではおさまらない、危機的状況だといわざるをえません。

放射能による食物汚染もさることながら、薬品による汚染も相当なものだといわれています。しかも、その理由は大量生産して儲けを多くするためでしかない。そんなばかなことが、えんえんと続けられてきているのです。

 チェルノブイリ原発事故は1986年4月26日。その悪夢は25年後の福島にも襲いかかった。

 「鉄腕アトム」は未来の世界が技術革新によって繁栄するという内容ではない。先端の科学技術が暴走すれば、幸せのための技術が人類滅亡の引き金ともなりかねない、ということがテーマだと手塚さんは強調する。

鉄腕アトム」で描きたかったのは、一言で言えば、科学と人間のディスコミュニケーションということです。

ディスコミュニケーションという点では、科学と人間もそうですが、いま地球と人類にそれが起きている。もっと地球の声に耳を傾けるべきだと思うのです。

 3.11後には示唆に富む。コミュニケーション不足が深刻な問題となっている科学の現場。科学を扱う人間同士の対話だけではなく、科学と人間の対話も忘れてはならない。

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