Elephant in the Room

フィクションと死と医療をつなぐ実験的ブログ

もはやどこにも押しつけられなくなった価値観

ぼくの過去記事 生死を押しつける価値観 - Elephant in the Room を読み直した。 当時は、「生死を病院だけに押しつけていていいのか?」という気持ちだったに違いない。その部分に共感して書いた記事だったのだろう。 おそらくこれは、病院で長く働く人であ…

関心は過去の体験に依存する?

はじめて見る景色のはずなのに「どこかで見たことがある」と感じることはありませんか。 はじめて聞く音楽のはずなのに「どこかで聞いたことがある」と感じることはありませんか。 そして、それがとても心地いいと感じることも。 どこかで見たことがある景色…

図書館をもっと活用したい

図書館って大事なものだ。もっと利用すべきだった、と感じた一冊。 図書館「超」活用術 最高の「知的空間」で、本物の思考力を身につける 作者: 奥野宣之 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2016/03/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を…

生死を押しつける価値観

5年ぶりに、震災のことを思い出した。そう、あの熊本・大分の地震のせいだ。 おそらく2013年当時のものだが、新聞記事を読んですぐに途中まで書きかけたと思われる下書き原稿が出てきた。備忘録として掲載しておく。 「死生観、大震災で変化 宗教学者・植島…

象の操作室、デザイン一新

ブログデザインを一新した。単に気分的な動機によるものである。 このテンプレート、メモ帳のようなテイストでなかなかいい。 英字のほうが映えるデザインのため、タイトル「象の操作室」を英文タイトル「Elephant in the Room」としておいた。 ちなみにこれ…

想定復元というフィクション

三内丸山遺跡(青森市)を訪れた。 最後にここを訪れた時(といっても10年以上前だろう)には、プレハブのような資料館とまだ整備されていない広い公園のような空間がただ広がっていただけであった。どれほど貴重な遺跡なのか、その価値がよくわかっていなか…

あんとKindle

今さらだが、Kindleをキャンペーンで購入した。 これが想像以上に読みやすく、便利だ。スマートフォンのアプリの比ではない。それがいいのかどうか、まだよくわからないが、無料で読める本もある。こんなことなら、もっと早く使っておけばよかった。 Kindle …

嘘みたいな物語の定型

今回もまたフィクションではなく、本当の話だ。 嘘みたいな本当の話 (文春文庫) 作者: 内田樹,高橋源一郎 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/03/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る Amazonのレビューにもあったが、ストーリーよりも…

無限に小さな生

ひきつづき、片山恭一さんの作品を。 生きることの発明 (小学館文庫) 作者: 片山恭一 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2014/02/06 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 3つの短編が収められており、いずれも死や生を取り扱ったものである。リアルな…

どこへ向かって死ぬか

今回もまた、フィクションではないが、ブログのテーマと関連があるだろう。 たまたま書店スタンドで手にしてしまった。読了したばかりで、まだうまく言語化できていない。 ただ、圧倒された感じだ。 どこへ向かって死ぬか (小学館文庫) 作者: 片山恭一 出版…

記憶にかたちがあるなら

半年前に書きかけていた下書き原稿。書いたことも忘れかけていたが、せっかくなので手を加えて出してみる。 記憶に、もしかたちというものがあったとしたら・・・自分なら、いったいどんなコトバで例えるだろうか。 霧とか朝もや。いや、これもありふれた表…

本の記憶をよみがえらせる

久しぶりの更新となってしまった。 最近、あまりフィクションに手を出す余裕がなかった。或いは、読んでいたとしてもここに書いておくまでのものではなかった。まあ、そういう時期もあるだろう。気長にやりたい。 しかし、どんな本を読んだのか、そしてどの…

死を意識する手段としてのフィクション

「読んでみてください」と短編小説を手渡された。こんなことは、はじめての経験だ。著者はいつも外来に通院しているなじみの女性だった。 最近、趣味で書き始めたそうだ。晩年になってから小説を書きたくなるという需要は一定数あるのかもしれない。講習会の…

ふりかえってわかる師もある

師の死 私のひとりの師が亡くなった。 といっても、教えを受けてから30年も経っている、小学校教師のことだ。 30年も前のこととなると、師に関する想い出は断片的なものになっている。当時の輝かしい活躍についてはもちろんはっきりと覚えているのだが、いっ…

戦争も遠いできごとになってしまった国で

「はだしのゲン」について。2013年8月18日の天声人語から。 天声人語 2013年8月18日 - Yahoo!ニュース - Yahoo! JAPAN 引用は難しいため、原文はご一読を。ここでは、かいつまんで話を進めたいと思う。 「はだしのゲン」は作者自身の被爆体験をもとに、当時…

土の中に何かが埋まっている

引越しがようやく一段落。たくさんのモノに囲まれていることを再認識することとなったが、これからの人生に必要なモノはどれほどあるのだろうか? 本についても然り。 思い出という名の記憶と忘却のなかで、われわれは暮らしている。昔読んだ本を手にするこ…

いまだ経験していないことを感じる

以前読んだ本。あるALS患者の本棚で見かけてからというもの、心のどこかにひっかかっていて、遠い記憶をたどってみることにした。 逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズ ケアをひらく)作者: 川口 有美子出版社/メーカー: 医学書院発売日: 2009/12/01メ…

ダンボールに囲まれて

1年半ぶりにダンボールに囲まれている。 タンスの肥やし、ならぬ、押入れの肥やしになっていたダンボールの数々。何度となくダンボールの入れ替えをしながらも、押入れの奥でひっそりと生き延びてきた負の遺産たち。ほとんど使われることなく、長いもので20…

レイモンド・カーヴァーの象

タイトルにつられて、またレイモンド・カーヴァーを手にしてしまった。 また、といっても、手にしたのは1年半前になる。時間が経つのは早いものだ。 カーヴァーに「象」という短編があることは知っていたが、なぜかこれまで手にしたことはなかった。 今回は…

象はどこへ行ったのか

久しぶりの投稿。よく言えば、構想をあたためていた、というところか。 忘れていたわけではなくて、象について、毎日のように考えつづけている。象はどこに潜んでいるのか。 以前、象とは何かでも書いた。 「象はいつもどこかにいる。とてつもなく大きくなり…

リトル・ピープルと拡張現実

ちょうど「1Q84」を読み終えたところで書店で見かけ、「リトル・ピープル」にひっかかり思わず購入。 1Q84 BOOK1-3 文庫 全6巻 完結セット (新潮文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/05/28メディア: 文庫この商品を含むブログを見る リ…

象とは何か

大きな象をどうとらえるか?―このブログの主題である。 このタイトルのヒントになったのは、村上春樹さんの短編小説「象の消滅」である。 「象の消滅」 短篇選集 1980-1991作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/03/31メディア: 単行本購入: 8…

はてなブログへ引越し

お知らせ 本日「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ引越ししました。 インポート設定を使って、3ステップで簡単に記事がインポートされました。リダイレクトも自動的に行われるようです。 これからも、よろしくお願いします。 象の操作室 http://zono…

救済のためには何をしてもよいのか?

NHKスペシャル 未解決事件「オウム真理教」が2夜連続で放送された。NHKスペシャル 未解決事件「オウム真理教」番組概要 番組では、NHKが独自に入手した教団内部の700本を超す音声テープと元幹部たちの証言をもとに、教団がどのように暴走していったのか、実…

社会全体の思考停止

今回紹介するのは、フィクションではなくドキュメンタリーである。 ドキュメンタリーにはフィクションとの共通点があるのではないかと思う。普遍性とでも言ってよいかもしれない。その普遍性は、ひょっとして大きなテーマのひとつではないか、とにわかに確信…

レイモンド・カーヴァー

作家は現象を巧みにコトバに変換して表現する。 もちろん、フィクションでは、その現象が実際に起きたことかどうかは問わない。しかし、コトバの表現には、あたかもその現象が目の前で繰り広げられているかのような臨場感が必要だ。 作家はそのような技術を…

経験していないことの記憶をたどる

物語をどのように作っているのか、フィクション化の作成過程に興味が湧く。作者のインタビューではその秘密の一端が垣間見える。 村上春樹さんの数少ないインタビューの中で、この部分の解説はやや具体的だ。 少年カフカ作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮…

科学と人間の対話を

先人たちが残してきた知恵や警鐘、3.11後にようやくわかることもある。坂本龍一さんが編纂した一冊の本を紹介する。 いまだから読みたい本――3.11後の日本作者: 坂本龍一,編纂チーム出版社/メーカー: 小学館発売日: 2011/07/27メディア: 単行本購入: 1人 ク…

経験から構造を取り出す

「ねじまき鳥クロニクル」を読むと、なぜか昔の風景が甦る。 ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1997/09メディア: 文庫購入: 10人 クリック: 127回この商品を含むブログ (500件) を見る …

ドラッグ・ラグ

早ければ幸せ? 早ければもっと…なのに。 早いことは本当に幸せなのか? 早くすることで失われるものは何か? 遅いことで日本にもたらされた良い面もきっとあったはずだ。 早くすることで、失われるものもあるはずだ。 これまでに得られた利点やデメリットを…

村上春樹を読まないでいる暇はない

しばらく、村上春樹さんの世界に浸り続けた。長編作品にはとても惹かれるものがある。これらの作品の中にフィクションと死と医療をつなぐ、重要なヒントが隠されているのではないかと感じている。 そこで、インタビュー集になにかヒントがないか、紐解いてみ…

文体診断

「文体診断λόγων(ロゴーン)」なるサイトを発見した。 - 文体診断λόγων(ロゴーン) 以下に文章を入力していただくと、名文の中から類似の文体を探し出します。また、文章の表現力や読みやすさを評価します。入力の上限は5000字です。 - 自分の書いた文章を…

死は遠くにあるものか?

そもそも、このような世界に足を踏み入れることになった発端は、ぶらり立ち寄った池袋の書店で手にした一冊の本だった。 死という鏡 死という鏡 この30年の日本文芸を読む (講談社文庫)作者: 三輪太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/03/15メディア: 文…

フィクションとは

フィクションとは何か。まずはそこから。 Wikipediaによると、 - フィクション (fiction) とは、架空の物事。広義では真偽が定かでない伝承や推論なども含む。 架空の出来事・人物・舞台を設定しようとする試み。そこで繰り広げられる物語を創作しようとする…

象はとてつもなく大きい

「医学的に正しいこと」とは何か。それは、とても難しい問いである。 ヒトはいずれ死を迎える、つまりヒトの死亡率は100%であるということ。そして、死は誰も経験を伝えることができない、ということ。ここまではどうも医学的には確からしいことではある。 …

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